【講師】
岡田洋平 先生
(畿央大学 理学療法学科 准教授)
<アブストラクト>
パーキンソン病の運動障害に対するリハビリテーションの短期効果,長期効果に関するエビデンスは蓄積されてきています。パーキンソン病の運動障害に対するリハビリテーションの適応と治療戦略を考えるにあたり,各運動症状の機序の理解,評価に基づくことが重要です。パーキンソン病の運動症状は課題や環境,内的要因により変化し,対象者によってその出現の仕方も異なります。本講義では最新の知見に基づき,パーキンソン病のリハビリテーションの効果に関するエビデンス,運動症状(無動・すくみ足,姿勢制御異常を中心に)の捉え方,評価,治療戦略を立てる際の考え方について中心に紹介します。
パーキンソン病患者は疾患の経過が長くなるにつれて約80%の方が認知機能障害を呈することが報告されています。パーキンソン病の認知機能障害はリハビリテーションを阻害する重要な問題です。しかし,認知機能障害を呈するパーキンソン病患者の運動障害に対するリハビリテーション介入のあり方についてはほとんど報告がないのが現状です。本講義の最後にはパーキンソン病の認知機能障害についても触れたいと思います。本講義を通して,パーキンソン病の運動障害に対する理解を深め,対象者への接し方,評価,リハビリテーション介入の参考にしていただくとともに,リハビリテーションの今後の課題についても共有し,この分野を発展させていく機会になればと思っております。