リハビリテーションのための脳・神経科学入門


【講師】
森岡 周 先生
畿央大学大学院 健康科学研究科研究科 主任・教授

<アブストラクト>
 脳卒中後の運動麻痺が起こることで不活動の状態が継続し、麻痺肢の不使用が続くと皮質の運動野や感覚野の体部位再現(機能マップ)が狭くなり、それに基づき「学習性不使用」が起こることは自明である。よって、身体機能回復のためには、脳の中の機能マップを拡大させる必要がある。この機能マップの拡大は、単純な運動を繰り返すだけでは起こらず、対象者にスキルを要求し、ある程度のエラーを発生させる運動を適応しなければならない。しかし、エラーを修正できない課題が継続されてしまうと、エラーが罰となり、それ
により負の感情が強く起こり、その運動課題を継続しなくなる、あるいは、罰を回避するように作用する代償運動によって行為を獲得してしまい、それにより非効率な動きが定着してしまう。
 本講演では、脳卒中後の「運動障害からの改善」を「新たな運動を学習する過程」と捉え、運動学習の神経メカニズムを説明するとともに、そのメカニズムを考慮したリハビリテーション治療について解説する。加えて、脳卒中後によく出現する愁訴である「自分のからだのようには思えない」「自分の手足が重い」といった身体喪失感・変容感の神経メカニズムを解説する。なぜなら、このような愁訴は運動指令に関わる皮質脊髄路の興奮性に関与するからである。こうした身体意識の変容メカニズムの視点から、これからのリハビリテーション治療はどうあるべきか、その臨床視点を提案する。


【開催日】平成30年6月3日(日)
【タイトル】リハビリテーションのための脳・神経科学入門
【開催地】大阪
【会場】大阪社会福祉指導センター 
    5F 多目的ホール
    (大阪市中央区中寺1-1-54)

【時 間】10:00~12:30(受付9:30~)
【講 師】
 森岡 周 先生
(畿央大学大学院 健康科学研究科研究科 主任・教授)




セミナー参加費
通常 ¥5,800+税