歩行分析のポイント
加藤 浩先生 執筆 p104
加藤先生は歩行スピードに対する理解について、そもそも「速度」とは移動量以外にも方向を表す単位であること、したがって臨床的意義としては「スピード」(単位時間あたりの移動量(大きさのみ))として捉えることが正しいということを説明されている。
【床反力からみた歩行分析のポイント】
ここでは、立脚期の各時期における床反力成分の違いについて述べている。
立脚期には以下の2つの時期において床反力成分が確認できる
①イニシャルコンタクト(初期接地)〜立脚中期
②立脚中期〜前遊脚期
そして各々の床反力成分は以下に示すとおりである。
歩行進行方向に対して
①はマイナス値(逆向きの力が作用。減速)
②はプラス値(同方向へ力が作用。加速)
歩行立脚期は減速と加速を繰り返しているということになる。
歩行周期区分と床反力前後成分
身体重心に向かう床反力は①はマイナス(減速)②はプラス(加速)なる
※引用:p105ページ図1より
以上のことを踏まえ患者の歩行評価においては歩行スピードを単なる10m◯◯秒という評価のみでなく、その歩行スピードの変化に対して立脚期を2つに分けて考察する必要があるということである。
【歩行スピード低下の原因を考察】
イニシャルコンタクト(初期接地)〜立脚中期において大きな減速がみられるのか?
もしくは立脚中期〜前遊脚期にかけての加速する力が不十分なのかを予測することにある。
初期接地にはいわゆる“足のつき方”“衝撃”として入力される力を受ける各関節の機能によって左右される。
衝撃を緩衝する方法を見極め、それにより各関節機能の状況を照合し歩行の質を捉える必要がある。
また立脚終期は接地している側が最後の推進を行う大切な時期であるが、この時期に股関節、膝関節の筋の関与はみられず、
足関節底屈方向すなわち腓腹筋の筋活動であることを説明している。(腓腹筋の筋活動いわゆる底屈モーメントは蹴りだしではなく、身体重心のか落下制動であることも後述している)