末期股関節症の理学療法
宮本梓先生、坂本直文先生 執筆p132
まずはじめに、末期股関節症患者の特徴は
ROM制限、脚長差による跛行、痛みは変形相応とは限らない
アプローチにおいては確保されているROM範囲を見極め、その領域において筋力トレーニングを行うこと不良な動作を修正し腰椎骨盤リズムを整えることにあるとされている。
【末期の特徴を把握】
末期の特徴を把握し診断名と画像所見の整合性を得る作業が必要であることを述べている。
変形性の特徴として長期的な圧や痛みからの回避などにより、骨棘や関節の拘縮、姿勢変化などがみられるため、画像の所見で関節軟骨の破壊はみられるものの、骨棘がみられない場合には急速的な変化による他疾患を疑う視点が必要となる。
【股関節症の痛みについて】
股関節症の痛みについて
病期の進行により、疼痛が相応に増悪していく先入観は持たないほうがよく、下記の2点に着目されたい
①疼痛は関節変形の進展時が最も強い
②末期は関節変形と拘縮により疼痛の減少することもある
【歩行評価は2回行うこと!】
股関節症歩行の特徴にトレンデレンブルグ徴候はイメージとするところであり、この原因は外転筋力の低下であることもすぐに思い起こされるであろうがそう決めつけるのは早計であるということ。
臥位など重力除去位などによる評価において、股関節拘縮が外転方向0度である場合も多く、骨盤や腰椎などの代償であることも多々ある。
その原因を把握して筋力トレーニングを選択しないと関節への過剰な負担を増やすだけである。
【脚長差の評価】
我々が行う評価に棘果長における評価であることが多いが、股関節の制限や膝変形により信頼性が欠けていく。
そいうときにこそ、画像所見は重要であり、大腿骨頭の扁平化や臼蓋側の問題である外上方偏位などが判断できる。
またその代償パターンは一様ではないことも多い。
脚長差
aは骨盤による脚長差が補正されていない状態であり、 bは骨盤により脚長差の補正がされた状態
臼蓋被覆がaよりbにおいてましていることである。aのような状態の場合は、
あえて脚長差の補正はせず、bのじょうたいとなることで股関節症の進行予防と疼痛改善になる
※引用:p141 図9より
【疼痛について】
評価は
①圧痛
②再現性
③疼痛増減因子はなにか?
例:歩行時の全面の痛みの場合、
疼痛部位の圧痛を確認
徒手テスト(パトリックテスト)で再現性を確認
で免荷し疼痛の増減を確認
【筋力へのアプローチ】
中殿筋の後部線維は股関節安定化に働き、股関節症患者はこの部位の低下が認められている。したがって、関節可動域範囲内においてかつ代償動作が出現しないようアプローチを進める。

